プレビュー:J1第2節 vs川崎フロンターレ

2020/06/30

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いよいよ再開するJ1。

鹿島アントラーズの再開初戦、川崎フロンターレ戦のプレビューを書いていきます。川崎のリーグ初戦のサガン鳥栖戦を振り返りながら、鹿島がどう戦うのか?というのをポジティブに楽しく考えていきたいと思います。

川崎vs鳥栖は0-0の引き分け。シュート数24対5、ボール支配率59%対41%。ホーム川崎が攻め、アウェイ鳥栖が守る、という展開が多い試合でした。

川崎はシステムを変えたことで、攻撃の迫力は増したかもしれませんが、その分隙も多くなったという印象を受けました。


参考:川崎vs鳥栖 ハイライト動画


川崎 鳥栖戦メンバー
川崎の鳥栖戦メンバーがこちら。他にもベンチに元鹿島の山村、代表経験者のMF守田・DF車屋、そしてこの日はベンチ外の中村憲剛・斎藤学、と強力な個が揃っています。システムは今シーズンから取り組んでいるというダミアンをCFに置いた4-3-3です。


川崎の攻撃
カウンターの威力を高めることが4-3-3導入の狙いの1つということですが、この日は鳥栖が慎重な戦い方をしたこともあり、カウンターが決まるシーンはほとんどなく、鳥栖のブロックに川崎が遅攻で挑むという展開が多かったです。

川崎は、右左どちらもサイドの3人の関係で崩すのが基本。左サイドは大島のパス、右サイドは家長の仕掛けが起点となることが多い印象でした。左サイドは大島のパスに加え、登里・(途中出場の)三苫が自分で仕掛けることもでき、鳥栖の脅威となっていました。右サイドは家長が消えている時間も多く、途中交代。より積極的に仕掛ける旗出が入ってからの方が良くなったと思います。

CFのダミアンは基本的に中央から動かず、センターバックをを引きつけ、ゴール前で勝負する役割。交代で入った小林の場合、やや裏に抜ける動きなどが増える印象でした。


鹿島の守備のポイント
では、川崎の攻撃に対する鹿島の守備を考えてみます。

<リトリート(後方でブロックを作り守備をする)時>
下図では鹿島の右サイドでの守備としていますが、逆サイドでも考え方は同じです。また、鹿島のメンバーは先日のトレーニングマッチ町田戦の先発で仮置きしています。

①サイドでの3対3の守備
4-1-4(4-5)でブロックを作っていた鳥栖と違い、鹿島の場合は4-4-1(4-4のブロック+トップ下の選手)でブロックを作るのが基本です。なので、川崎のサイドの3人には、サイドハーフ・サイドバック・ボランチの3人であたることになると思います。

川崎の3人の流動的な動きを捕まえることドリブルでの仕掛けを抑えることが鹿島の守備の大きなポイントになるはずです。

※アラーノを下げて4-5のブロックを作るという選択肢もありますが、セカンドボール回収・攻撃に移るのが難しくなる為、基本的にはやらないのではないかと思っています。


②サイドを変えられた場合のスライド
川崎がサイドで攻めあぐむとサイドチェンジを絡めてくることが想定されます。アラーノも含めた(田中や脇坂へのパスコースを切る・けん制する)守備で簡単にサイドを変えさせないようにしたいですが、完全に抑えるのは難しいでしょう。

サイドを変えられた場合に、中盤の選手たちが素早くスライドし、強固なブロックを作り直すことがポイントになってくると思います。


③ダミアンへの守備
どんなに川崎に攻撃の形を作らせなくても、アバウトに放り込んでくるボールを決められたら元も子もありません。ダミアンは鳥栖戦でも、アバウトなボールを泥臭い形でゴールにねじ込んでいました(結果オフサイドでノーゴール)。

町田・関川のCBコンビがダミアンを抑えること。信じています。



<プレッシング時>
川崎の左CBの谷口(とGKのソンリョン)は右利きの為、プレスをかけれられると右へパスを出すことが多く、縦パスを入れる役割は主に右CBのジェジエウが担っていました。

しかし、ジェジエウは球離れが遅く、パスコースが限定された状態でパスを出さざる得なくなってしまうシーンが見られました。

もし第2節でも同じ傾向が見られるのであれば、下図のように鹿島の右サイドから連動してプレスをかけて行き、ジェジエウの縦パスをボールの取り所にする、というのは有効かもしれません。


川崎の守備
川崎は前線からのプレスもリトリートも4-3-3で行います。
前線に3人残し、カウンターの威力を高めることが狙いだと思いますが、そのせいで守備に綻びが見られるシーンが見られました。

<前線からのプレス①>
鳥栖戦の前半、川崎は相手GKまで積極的にプレスをかけていました。ダミアンがGKへプレスに行き、連動して田中が前に出るという形です。

しかし、ダミアンのプレスにあまり迫力がなく、GKが余裕を持ってボールを蹴れていた為、田中が元々マークしていた選手、あるいは(もし脇坂がその選手にマークにいけば)外の選手にボールを繋がれ、攻撃の起点を作られてしまっていました。


<前線からのプレス②>
この為、後半からはGKへプレスに行かず、ダミアンは相手のボランチをマークするという形に修正しています。


<前線からのプレス③>
これも川崎の守備の綻びが見られたシーンです。相手GKからCBにボールが渡り、ダミアンがプレスに行きますが、ここでもダミアンのプレスに圧力がなく、CBにドリブルで前進を許してしまいます。長谷川が遅れてプレスに行きますが間に合わず、CBからの前線にパスが通ります。

ここで田中(と脇坂)が前線へのパスコースを消せていないのもフロンターレの守備の綻びと言えると思います。本来守備側としては、外の選手をマークするよりも、縦へのパスコースを切ることが優先だったはずです。

これは田中個人の守備の問題と言うより、4-3-3でプレスをかけることの弱点だと思います。そもそも中盤3人でピッチの横幅全てを守るのは難しい為、前線のプレスを簡単に突破させないことが4-3-3の前提になっているはずです。しかし、このシーンでは前線が簡単に突破されてしまった為、本来中央で構えておくべき田中がサイドまで引っ張りだされ、守備に混乱が生じたのだと思います。


<リトリート>
4-3-3による守備の綻びは、リトリートの場面でも表れていました。

このシーンでは、鳥栖のサイドチェンジに中盤のスライドが間に合わず、サイドバックの登里が引っ張り出されています(中盤が4人や5人の場合に比べ、3人でのスライドは一人ひとりの移動距離が長くなり、どうしても遅れてしまうシーンが増えます)。


登里が引っ張り出された結果、脇坂が空いたスペースの守備に入りますが、そもそも守備に強みがある選手ではありませんので、簡単に裏を取られてしまっています。


鹿島の攻撃のポイント
川崎の守備に対する鹿島の攻撃を考えてみます。やはり、4-3-3システムの綻びを突いていく戦い方になるはずです。

<ビルドアップ>
ビルドアップの局面では、スンテのキック精度、サイドでの空中戦、スンテも含めた4対3の攻防がポイントになると思います。

①GKにプレスに来る場合
もし川崎がスンテまでプレスに来れば、中盤でフリーになっている選手がいる可能性が高いです。スンテからその選手にパスを繋げれば攻撃の起点を作ることが出来ます。


②GKにプレスに来ない場合-1
川崎がスンテまでプレスに来ない場合でも、中盤は4対3でアントラーズの選手が1人多い状況です。スンテからフリーの選手にパスを繋げれば攻撃の起点を作ることが出来ます。


③GKにプレスに来ない場合-2
スンテのキック精度に加え、サイドでの空中戦もポイントになってくる可能性があります。

スンテからサイドの選手へ足元で受けられるようなパスを毎回繋ぐことは簡単ではありませんので、ヘディングで競るような高いパスになること、また川崎のサイドバックの選手が前へ出て対応してくることも想定されます。

そうした場面で空中戦に勝ち、ボールを繋いで攻撃の起点を作りたいところです。


③GKにプレスに来ない場合-3
スンテからのロングパスで起点を作れれば敢えてリスクを取る必要はないと思いますが、川崎のFW3人のプレスを、スンテ・町田・関川・三竿の4人の連携で突破するシーンにも期待したいですね。

突破できれば、フロンターレの中盤はピッチの横幅全てを3人で見なければいけませんので、一気に崩せる可能性が高まります。


<ゴール前での崩し>
鳥栖戦で見られた、サイドバックを引っ張り出す→大島・脇坂とサイドで勝負(ドリブル・裏抜け)する、という形は徹底的に狙うべきだと思います。

大島・脇坂も、決してサイドでの守備が得意な選手ではありません。そして、この位置で勝負することは、相手CBがカバーに出てくればゴール前でエヴェラルド(ダミアンに負けずアバウトなボールだって勝負できるぞ!)や他の選手へのマークが緩くなる、カットされても後ろに人数が揃っているのでカウンターのリスクが低い、などメリットが多いと思います。

この位置でボールを受けることが多そうな、名古・和泉・アラーノ・土居・松村・染野・荒木には積極的に仕掛けて欲しいです。


1度でサイドバックを引っ張り出せなくても中盤は4-3で数的有利なので、サイドチェンジを絡めながら徹底的に狙って欲しいです。



鹿島のメンバー 
最後に鹿島のメンバーについても書きたいと思います。

参考:トレーニングマッチ vs FC町田ゼルビア ポジション別出場時間
6/20に90分×4本で行われたトレーニングマッチ、FC町田ゼルビア戦のポジション別出場メンバーです。上から出場順、()内は出場分数を表しています。複数ポジションでプレーした土居・染野・白崎には印を付けました。


町田戦先発以外のメンバーで、ザーゴ体制の公式戦3試合で先発出場があるのは、土居・広瀬・犬飼・奈良の4人だけです。ただし犬飼と奈良が先発したのは、ザーゴ体制初戦のメルボルン戦だけでその後は先発から外れています。 

なので川崎戦の先発メンバーは、町田戦の先発11人+土居(名古と交代)・広瀬(内田と交代)の中から選ばれるのが有力ではないでしょうか?
5人の交代が可能なのでメンバー交代も、より重要になってきそうですね。


その上で以下コメントさせて頂きます。

ゴールキーパー
そう簡単に選手を変えないポジションなので、ほぼ間違いなくスンテが先発するでしょう。町田戦で健在ぶりを示した曽ヶ端が控えにいるのも頼もしいですね。


左センターバック
ザーゴのサッカーでは、ビルドアップの為に、左センターバックには出来るだけ左利きの選手を置きたいはず。川崎戦は町田の先発が濃厚です。

5人交代の場合、攻撃的な選手をより多くベンチに入れておくことになるのでしょうか。もしそうであれば、左利きでCB・SBどちらも出来る杉岡のユーテリティー性は魅力。ベンチメンバーに入るのでしょうか。


右センターバック
町田戦で素晴らしいパスを連発していた関川の先発が濃厚です。攻撃面ではザーゴサッカーの申し子とも言える存在なのではないでしょうか。

昨季CBの中心だった犬飼も、町田戦では良いパスを見せ、十分にザーゴサッカーに適正があることを示したと言えそうです。

町田戦で貫禄のあるプレーを見せてくれた奈良、古巣対決で出番はあるでしょうか。


左サイドバック
町田戦とこれまでの公式戦全てに先発している永戸の先発が濃厚です。

ただ個人的には、川崎の右SBの山根(178cm)との空中戦や、ジェジエウから前線(家長など)に入れてくるボールへの守備を考慮して、山本(180cm)や佐々木(183cm)、杉岡(182cm)を起用しても面白いのではないかと感じます。


右サイドバック
両者とも町田戦で決定機を演出するなど、内田と広瀬がハイレベルなレギュラー争いを繰り広げています。どちらが先発してもおかしくありません。両者とも176cmあり、川崎の左サイドの登里・大島(どちらも168cm)に空中戦でも優位に立てるはずです。

一方で、ボランチの控えに入るであろう小泉か永木がサイドバックも出来る為、先発から外れた方はベンチにも入らない可能性があるかもしれません。

伊東にもこの2人の争いに割り込んでいって欲しいですね。


ボランチ
三竿とレオシルバの組み合わせがザーゴのファーストチョイスのはずです。三竿は年々パスが上達している印象で、町田戦でも何本か良いパスを見せていました。レオシルバは町田戦は少し元気がなかったように感じましたが、経験豊富な選手ですので川崎戦ではやってくれるでしょう。

個人的には、町田戦で献身性が光った小泉も見てみたい気もします。永木と同様、サイドバックも出来るユーティリティー性も魅力です。

白崎は上記4人にはない、よりテクニカルな特徴を持っていますので、是非ポジション争いに食い込んでいって欲しいですね。


左サイドハーフ
町田戦とこれまでの公式戦全てに先発している和泉の先発が濃厚です。

しかし、荒木も毎試合素晴らしいプレーを見せ続けており、和泉も安泰ではなさそうです。川崎戦でも荒木の出場はあるのではないでしょうか


右サイドハーフ & トップ下
町田戦とこれまでの公式戦全てに先発しているアラーノの先発は濃厚です。

もう1人の先発が名古の場合は、名古が右サイド、アラーノがトップ下で決まりでしょう。
ただ、土居の場合は、土居とアラーノのポジションがどっちになるかわかりませんね

また、この2つのポジションで更に予想が難しいのが控えメンバーです。そもそも控えを何人置くのかという問題もありますし、染野のシュート技術松村のドリブル遠藤の左足とそれぞれ個性があり、途中出場でも流れを変えられる選手達です。先発候補の土居と名古のベンチ入りも安泰ではないのかもしれません。


センターフォワード
町田戦とこれまでの公式戦全てに先発しているエヴェラルドの先発が濃厚です。

町田戦でコンディションが良さそうだった上田は川崎戦でも出場機会があるのではないでしょうか。

2シーズン連続公式戦10ゴール超えの伊藤の巻き返しにも期待したいですね。



いよいよ待ちに待ったリーグ再開です。
楽しみましょう!

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